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なにを、人闻きの悪いことを!早く渡れ!」    しかし船头は、わめく役人を橹で叩いた。役人はどすんと船底に転がる。    「や、やめろ。巡検(见回り役人)を呼ぶぞ!」    役人の悲鸣を闻いて、钢先は声を潜めていった。    「変な具合になってきたな。李秀、あれを使ってみてくれ」    「あれって?」    头の左右にある短いおさげを整えながら、李秀は钢先に问い返した。钢先は、行李(荷物入れ)を指して    「あの镜だ。いるかもしれない、魔星が」    雷先が、惊いた声を上げる。    「まさか。旅の初日だぞ」    「初日でも、怪しいと思ったら、确かめないとな」    船头と役人は、口论を続けている。    李秀が、镜を出して二人を映し、小声で叫んだ。    「钢先!これ见て」    贺兄弟がのぞき込むと、镜に映る船头の姿に、うっすら文字が重なっていた。    天平星    と読める。钢先が薄く笑った。    「本当にいたか。いきなりだな」